建築とオタク 建物探訪 2007年06月14日 半月ほど前の休日に上野公園あたりをブラブラしていたんですが、そのとき目にしたのが解体準備に入っている菊竹清訓設計の「ホテル ソフィテル東京」でした。(下の写真は現存時のものです。)黒川紀章設計の「中銀カプセルタワー」と同様にメタボリズム(新陳代謝)運動を代表する作品です。「メタボリズム」は1960年代から展開された芸術運動で、建築が新陳代謝を繰り返しながら有機的に成長していくことを理念としており、「日本発」「建築発」の芸術運動という点で日本の芸術史上重要な出来事ではないかと思っています。歴史的に見て、日本人が自発的に作り上げてきた「オリジナル文化」といえるものは少なく、その多くは、古くは中国・近代では欧米などの外国から輸入してきた文化を長い年月をかけて自国流にカスタマイズしてきた「アレンジ文化」です。その「アレンジ文化」が主流の国・日本にとって貴重な「オリジナル文化」であるメタボリズム運動。そしてその代表作である「中銀カプセルタワー」「ソフィテル東京」。歴史的・芸術的観点からみて保存さるだけの価値はあるように思うのですが、日本という国では、「建築=芸術」という考え方が皆無であるのが現実で、共にここ数年の間に解体されることが決定しています。これらメタボリズム作品に限らず、日本の「オリジナル文化」はどうも冷遇される傾向があるようです。その冷遇の代表格といえるのが「オタク文化」。現在のパソコンやインターネットなどの環境を大きく発展させてきた立役者なのに、世間が彼らにそそぐ眼差しはどうも冷たいように思います。建築もオタクも日本では肩身の狭い存在です。by tamura PR