トラベル 所員の趣味 2007年10月11日 またまたマンガの話。横山裕一『トラベル』3人の人物が電車に乗って目的地に着くまでのお話。お話といっても車中で特に何かが起こる訳でも無く、車窓を流れる風景が特別な訳でも無く、登場人物に感情や意思を表わすような表情も仕草も無く、会話どころか文字や音すら無く、とにかく「3人の人物が電車に乗って目的地に着く」こと以上に説明する内容が無いです。だがしかし物語も内容も無いはずのこのマンガですが、読み進めていくと、なぜだか全てのコマがストーリー上重要な伏線に見えてきます。これはおそらく、大きな物語があって、それに沿って振舞う登場人物いて、その物語の世界観を表わす背景があって、物語や世界観を補完する会話や文字がある。という既成のマンガの構造に慣れ親しんでいるがために起こるパブロフの犬的なもの。この作品は既成のマンガのセオリーに反しながらも、「既成のマンガ」という構造に癒着しそれを原動力としている、「寄生のマンガ」。おあとがよろしいようで。by tamura PR