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建築家をめざす所員のブログ【KEN一級建築士事務所】

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友達はチャンピオン

<前回の続き>

『知らないおじさんについて行っちゃいけません』

誰もが子供の頃に言われていた言いつけを破って
知らないおじさんについて行った僕。

おじさんの車に乗ってチェンマイ旧市街からひたすら東へ。
高価な宝石を無理やり買わされるかもしれない不安を感じつつ
道中、僕ははおじさんといろんな話をした。

シンと名乗ったそのおじさんは無類の下ネタ好きで
最初は引いていた僕だけど、話しているうちに
だんだん打ち解けていった。

シンは20年前はムエタイのバンコクチャンピオンで
リングの上では誰も懐に入らせなかったかもしれないが
リングを降りればお互い一人の人間同士。
シンの懐に入るのにそんなに時間はかからなかった。

やがて目的地に到着。
そこは世界各国の工場が集まる地域で
宝石・アパレル・工芸品・家具等々
有名ブランド・メーカーの工場がずらりと並んでいて
問屋を介さない分、いろんなものが安く買える。

多分シンは旅行者をこの地域に連れてきて
買った分の数%をキックバックしてもらうという
小遣い稼ぎをしているんだと思う。
(その証拠にシンは多分何も買っていなかった)

だけどシンは僕には買い物の強要はしなかった。
そればかりか店にいる間中、車のキーを僕に預けて
下心がないことを証明してくれた。

両親へのお土産を買った後
シンの子供をピックアップする為に
一緒にシンの家に行った。
おもむろに車のトランクをあけると・・・





なんとチャンピオンベルト!!
どうやらバンコクチャンピオンというのは
本当らしい。
その拳があればいくらでも僕に高価な買い物を
強要することができただろうに。

さらに話を聞くと
武田幸三がタイへ武者修行に来ているときに
トレーナーをしていたのがシンだったらしい。
そのときに武田が泊まっていたゲストハウスも
僕と一緒だったんだって。
なんという偶然。

ガイドブックに載っている通りに
いろんなものに警戒していたら
バンコクチャンピオンと買い物するなんていう経験は
できなかったと思う。
こういう、人との出会いが旅行の醍醐味だと
改めて気付かされたチェンマイの旅でした。



matsu
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