空間の謎・時間の謎 所員の趣味 2007年02月09日 最近読み始めた本です。まだ前半しか読んでいませんが。 科学と哲学という学問上の分類がまだ存在しなかった時代、ニュートン(正確にはクラークという代理の人物)とライプニッツとの間で繰り広げられた、物理学における絶対論VS相対論の論争に関するところから話は始まります。 どちらかというとライプニッツの相対論寄りで話は進んでいきますが、まあ確かにニュートンの物理学の論理は素人の僕がみてもちょっとヒドイ。なぜなら当初のニュートン物理学では『「空間」と「時間」とは物質に先立って存在するもので、それは神が創造した絶対的なもの』と定義されてます。「神」って・・・。今のご時世なら、科学者が「神様」みたいなものを持ち出して説明するなんてことはありえませんが、冒頭にも書いたようにまだ科学と哲学という分類が存在しない時代ですからこれもしょうがないことですが。万有引力にいたっても「すべての物質間に働く力ではあるが、ある程度離れるとその力は働かなくなる。」というような内容で、かなりいい加減なものですし。 ニュートンというと「空間」と「時間」という概念を物理学の基礎要素として見出したすごい発想力の人物ではありますが、そこからその学問を練り上げていくだけの論理は持ち合わせていなかったようです。逆にライプニッツは学問の基礎を築いたりすごい発見をした人物ではないですが、論理的に物事つきつめていく能力には長けた人物だったようです。天才派の人間に論理派の人物が噛み付いたこの一件があったからこそ、これが発端となって物理学が大きく先進し、その後ケプラーなどの高名な数学者達によって「ニュートン物理学」というものが確立したのです。 少々ニュートンを叩くような書面になってしまいましたが、「空間」や「時間」のような何の表徴ももたないもの(リンゴは除く。)から学問の道筋を見出すなんてことは、記号の海に溺れた僕たちには絶対に無理ですね。「ニュートン恐るべし。」(ちなみに、この本のカバーの帯に書かれている言葉は「ライプニッツ恐るべし。」です。)by tamura PR