安藤忠雄建築展で実感したこと。 所員の趣味 2008年12月19日 先日、ギャラリー間で開催されている安藤忠雄建築展へ行ってきました。今回の展覧会はただの展示会だけでなく、「住吉の長屋」という70年代の名住宅の実寸大の模型を体感でき、また、安藤さんのトークショーがあるということでとても楽しみでした。大学で建築を始めて、初めて読んだ建築の本は安藤さんの著書「建築を語る」であり、初めて感動した建築は誌面でしたが安藤さんの「六甲の集合住宅」でした。そして、製図の授業ではじめに取り組むトレースの課題は安藤さん「住吉の長屋」でした。実は、生でみる安藤さんは初めてであります。写真やTV、本から受けるイメージではとても厳しそうな人でしたが、とても気さくな関西人といった印象でした。トークショーも終始、笑いありの和やかなムードでした。それでも、話の内容は社会に対して、批判的に、そして、こうあるべきだなどととてもメッセージ性のとても強い内容でした。そもそも、安藤さんの建築自体がどの作品にしても、社会へのメッセージが強いデザインであります。改めて、安藤さんの社会への熱い思いを実感しました。肝心の「住吉の長屋」実寸模型の感想です。居間:3.7(奥行き)×3.3(間口)×2.25(天井高)の空間はとても居心地のいい広さでした。それはやはり、一面が中庭に面し、風がそよぎ、空が見えます。どこか、心の奥で落ち着くのでしょうか。また、中庭は、周囲を壁で囲まれ、一切のプライベート空間でとても安心間があり、部屋との仕切りは窓ガラスのため閉塞間は全くありません。雨の日は傘を差してトイレに行かなければなりませんが、その中庭でのんびり、食事や読書をしたい、そして、この家に住んでみたいです。shimada PR
No.1 Disk 所員の趣味 2008年12月12日 No.1シリーズが続いたので、自分もなにか一つ。今年の自分のNo.1 Diskです。先週、車のラジオ「J-wave」のなかで、とても心地のよいピアノの音色が響いてました。とても印象的だったので、アーティスト名を調べ、さっそくCD屋へ。アーティスト名は「CESARE PICCO」。読めますか?イタリアのジャズピアニストです。自分も初めて知りました。読み方は「チェーザレ・ピッコ」です。手帳にメモしたスペルを店員さんに直接みせ、発音してもらい、そして、探してもらいました。最新アルバムアルバム名は、「Il tempo di un giorno」がでているはずなのですが、なかなか見当たらない。話をきいてみると、輸入を代理しているイタリアの会社が倒産し、正規のルートでの入手は困難。別ルートでの販売は、¥5000近くになり、日本のCD屋も輸入を躊躇しているとのこと。そんなことを知ると、なおさら、なんとかして手に入れたい気持ち、あのピアノの演奏を聞きたい気持ちが高まってしまいます。最新アルバムは無理なので、その一つ前のアルバムを購入する事にしました。「MY ROOM」というアルバムです。早速、家へ帰って、play!待ってましたとばかりに、素敵なジャズピアノの演奏が流れてきました。軽快なリズムにのせた、とても心地よいメロディ、音です。今年の最後に隠れた名盤が見つかりました。うれしいです。ピアノの音に興味のある方はとてもおすすめです。shimada
まっすぐ 所員の趣味 2008年03月15日 『歪んだ建築空間-現代文化と不安の表象』アンソニー・ヴィドラーとある物件調査の時に空き時間が出来たので現場近くの本屋で買った本。電車移動のときや、休み時間に読もうかと思い事務所机のブックスタンドでスタンバイさせていますが、未だに序文すら読み終えていません。前書きと序文からすると、心理学的な建築論という感じです。世の中にはいろいろな情報がはびこっていて、それらが縦横無尽に交錯すればするほど幾分かの湾曲が加えられるから、もう本当に正しいものやまっすぐなものというのは自分達の身の回りにはほとんど何もなく、そういう近代的な文化や社会の中で生きる人間が生み出すものは、そういう背景からくる不安や恐怖心を反映してしまうんじゃないかと。このように近代において空間が生み出される構造には、このような2種類の「湾曲」が含まれていますよ、という内容。、だと思います(序文しかよんでいないので)。こう書くと簡単そうですが、それなりに読むのが大変そうな本のようですし、それになかなか読む時間もないので、手垢で汚れることもなく、ブックスタンドの間で「歪まずにまっすぐ」立っています。
アルミ 所員の趣味 2007年11月29日 1ヶ月ほど前に東京都現代美術館で開催中の「SPACE FOR YOUR FUTURE」展を見に行ってきました。写真は建築家石上純也の作品<四角いふうせん>。大きなアトリウムの中で巨大なアルミの箱がどこにも固定されず自由にプカプカと浮かんでいる作品です。高さ14メートル、体積1000㎥もある巨大な物体なので、見た瞬間に圧倒されてしまうのですが、その一方で、中にはヘリウムガスが充填されているので総重量は1トンで空気よりも軽く、また表面はわずか0.2ミリ厚のアルミシートでできているので、ほんのわずかな気流にも反応して表面が小刻みにプルプルと震えています。とてつもなく巨大なのに、とてつもなく華奢、というふたつの認識が現物を目の前にしても一点に収束していかない不思議な感覚がおもしろいです。by tamura
命名 所員の趣味 2007年10月25日 六本木クロッシング2007といういろんなアーティストが出展している展示会を見に行ってきました。感想としては後になって作家さんの名前を目にしても見てきた作品となかなか上手くリンクさせられないので、印象が薄いというのが正直なところです。カキ氷に全種類のシロップをかけて食べたらそれほどおいしくなかった、に近いです。そのなかでも記憶に残っている作品の一つに田中偉一郎という作家の「ハト命名」という映像作品がありまして、ハトの群れ一羽一羽に人の名前を命名するという見る人の笑いを誘うような馬鹿馬鹿しさをもったコミカルな作品です。以前に読んだある本の中で、ある植物学者がアフリカかどこかに研究で訪れた際に見たことがない雑草を発見して、ガイドの現地人に「この雑草は何という名前だ?」と聞いたら「こんなどこにでもあるような雑草に名前なんてあるはずないだろう。」といって笑われた、なんてことが書かれていました。身の回りにあるものの中に名前の知らないものがあってもそれには当然に「名前」が存在することが当たり前という感覚に、何だかムズ痒いような気持ち悪さをハトの「ホロッホー」をきっかけにして感じました。by tamura
トラベル 所員の趣味 2007年10月11日 またまたマンガの話。横山裕一『トラベル』3人の人物が電車に乗って目的地に着くまでのお話。お話といっても車中で特に何かが起こる訳でも無く、車窓を流れる風景が特別な訳でも無く、登場人物に感情や意思を表わすような表情も仕草も無く、会話どころか文字や音すら無く、とにかく「3人の人物が電車に乗って目的地に着く」こと以上に説明する内容が無いです。だがしかし物語も内容も無いはずのこのマンガですが、読み進めていくと、なぜだか全てのコマがストーリー上重要な伏線に見えてきます。これはおそらく、大きな物語があって、それに沿って振舞う登場人物いて、その物語の世界観を表わす背景があって、物語や世界観を補完する会話や文字がある。という既成のマンガの構造に慣れ親しんでいるがために起こるパブロフの犬的なもの。この作品は既成のマンガのセオリーに反しながらも、「既成のマンガ」という構造に癒着しそれを原動力としている、「寄生のマンガ」。おあとがよろしいようで。by tamura
鉄コン筋クリート 所員の趣味 2007年09月19日 原作の漫画を最近読みました。主人公であるクロとシロは「空を飛ぶことが出来る。」のですが、原作のマンガではあまりその辺のことがあまり具体的に描かれていません。それはマンガというフィクションな世界の中にあって、さらにフィクションな存在として彼らを描くために作者によって意図的に掻き落とされた部分なんじゃないか、と勝手に思っています。昨年、この作品は映画としてアニメ化されましたが、はたして彼らが空を飛ぶシーンはどうなっているんでしょうか?露骨に空を飛んでいたらがガッカリしそうなのでアニメ版を見るのは当面、先送りにしたいと思います。by tamura